7 養子縁組による帰化

外国人の方が日本人と結婚した場合、その方にお子さまがいる場合は比較的多くあります。いわゆる連れ子です。

当然、生まれたときの父も母も日本人でない場合が多いですし、新しい義理の父又は母が日本人で、日本で家族そろって生活したいというなら、その子も日本の国籍を取得したいケースは多いことでしょう。

実際には、その子の年齢が非常に大きな要素を占めます。

法令の構成から検討してみましょう

 

国籍法第8条の規定

国籍法8条にはこのように定めがあります。

———————————————–

第8条 次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第5条第1項第1号、第2号及び第4号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる

1 日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの
2 日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であつたもの
3 日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く。)で日本に住所を有するもの
4 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの

 

ここでは第8条第2項(下線部)が問題となります。

緩和される、5条1項1号、2号、4号とは

第5条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
1 引き続き5年以上日本に住所を有すること。(居住要件)
2 20歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。(能力要件)
3 素行が善良であること。
4 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。(生計要件)

つまり、居住要件能力要件生計要件の3点が緩和されるということです。

外国人の子で、未成年の時に日本人と養子縁組をした人は、1年以上日本に住んでいれば、現在20歳以上でなくとも、また、生計要件を満たしてなくとも帰化が許可される可能性があるということです。

ただし、法務大臣は「帰化を許可することができる」という規定ですから、必ず許可されるわけではありません。

日本人の養子となったのであれば、通常本国で成年に達していないと日本で帰化申請できないところ、帰化申請が可能になるということです。

ここで「1年以上の居住」とは、養子縁組が認められ、適切な在留資格を有し、中長期在留者として住所を有して(=住民票に載って)から1年以上、在留していることが必要です。

 

次に、生計要件には注意すべきポイントがあります。

国籍法第8条では生計要件が緩和されるとありますが、これはいうまでもなく養父母を含めて、生計をひとつの単位で生活している関係者全員の生計に関する資料を提出し、総合的な判断が行なわれます。仮に養父母が無職等で安定的な収入がなく、極端な例では生活保護を受けているような場合、帰化は難しいでしょう。

これは帰化を求める未成年者に限らず、養父母の職業が正社員である必要はありませんが、例えばパートやアルバイトなど非正規労働者の場合、安定的な生計が維持されていることは、過去の実績を示して将来的な予測を訴えるしかなく、はたして法務局の審査官に帰化を認めさせるだけの根拠となり得るかは不確定です。

なお、15歳未満の方は日本語能力のチェックはありませんし、「動機書」(直筆)を書くことも求められません。(直接関係はありませんが、日本語能力試験(JLPT)受験のための年齢制限はありません。)

もし未成年で日本人と養子縁組した連れ子の方は、1年経過したら帰化申請されることをお薦めしています。

言うまでもなく帰化が許可される可能性が高いからです。