帰化申請とは?

帰化申請は、日本国籍を持たない外国人の方が、日本国政府に対し「日本人になりたい」と意思表示することです。

つまり、感情的な意味での日本人ではなく、法律的に正真正銘の日本人になりたいという正式な意思表示を行うことです。

申請者はもちろん帰化を希望するあなたご本人であり、申請を出す相手方はこの場合の責任者である法務大臣です。

実際の窓口は、各地の法務局です。

 

帰化が認められるとどんなメリットがあるのか

帰化が認められるとは、どういうことでしょう?

まず、いつ帰化が認められるかというと、法務局に提出した申請が認められると、「官報」というタブロイド紙のような新聞に、あなたの①氏名、②住所、③生年月日が載ります。

この官報の発売日(掲載日)に、あなたは日本の国籍を取得したことが正式に認められます。

帰化が認められて、日本人になったということは、要するに普通の日本人と同じ権利と義務が発生するということです。

メリットとデメリットをまとめました。簡単に説明します。

 

メリット1:在留カードがいらなくなります。

メリット2:日本のパスポートを持つことができます。

メリット3:就労制限がなくなります。

メリット4:投票権(参政権)が得られます。

メリット5:戸籍が作成されます。

メリット6:年金や福祉に関する社会保障が、日本人と同じ扱いになります。

メリット7:住宅ローンや自動車ローンなどの銀行取引や融資が容易になる、といわれています。

 

個別に見てまいりましょう。

メリット1:在留カードがいらなくなります。

日本人で在留カードを持っている方はいません。帰化することで在留カードは返納しますから、当然携帯義務もなくなります。

 

メリット2:日本のパスポートを持つことができます。

日本のパスポートを持つ大きなメリットは、その信頼性の高さです。

日本の赤い(10年)又は青い(5年)パスポートを持っていると、短期の観光旅行でVISAが免除される国が増えたり、ビジネス渡航であっても手続きが簡素化されることがあります。

特に大きいメリットは、里帰りなど海外渡航を終えて日本に再入国する際、これまで必須だった再入国許可のVISAが不要になることです。

 

メリット3:就労制限がなくなります。

帰化する方の多くは、すでに永住や定住の許可があることが多いようです。それなら既に就労制限はなかったことでしょう。

その他の就労資格で働いていた方にとっては、就労制限がまったくなくなることは大きなメリットです。

転職も自由ですし、当然ですが公務員になることもできます。

 

メリット4:投票権(参政権)が得られます。

日本人なら当然ですが、国政選挙や地方選挙で投票することができます。

さらに、望むなら立候補して、当選すれば国会議員や地方議会議員になることもできます。

 

メリット5:戸籍が作成されます。

日本国籍を帰化により取得すると、新たに戸籍が作成されます。戸籍の所在地を本籍地といい、住所のある市町村(住民票の所在地)でなくても本籍の所在地は決められます。結婚された場合は日本人として新しい戸籍が作成されます。

 

メリット6:年金や福祉に関する社会保障が、日本人と同じ扱いになります。

社会保障の制度は、日本人も外国人も同じ扱いとなる(内外無差別)のが原則ですが、現実的に日本以外にお住まいの扶養親族に対する社会保障等で困難を感じる方もおられるようです。公的扶助も含め、帰化後は日本人として同様の社会保障が受けられます。

 

メリット7:住宅ローンや自動車ローンなどの銀行取引や融資が容易になる、といわれています。

若干都市伝説めいてはいますが、外国人であるよりは、日本人であるほうが融資などは通りやすいという声を聞くことはあります。いつ帰国してしまうかわからない方よりは、国籍が日本にあり、将来にわたってずっと日本で生活を続ける方のほうが、有利であるとはいえるでしょう。ただし、そもそも融資の可否を判断する根拠は、職業やお住まいなどの所得や貯蓄など収入や資産、又は納税記録など金融機関独自の融資基準により判断されます。

 

帰化のデメリット

帰化することのデメリットも、当然ですがあります。

デメリット1:母国の国籍を喪失します。

日本は二重国籍を認めていません。そうでない国もあることから、帰化の条件として、日本国籍が認められたら既存の国籍は離脱することが条件となっています。

デメリット2:再び母国の国籍を取得することが非常に困難になります。

あとになって、もとの母国の国籍を取り戻したいとお考えになっても、非常に困難であることは理解されたほうがよろしいでしょう。そのような強い決意がないと、日本国籍の取得は認めてもらえない可能性があります。

 

まとめ

帰化申請を許可するか、又は不許可とするかの判断は、法務大臣に広く裁量権が認められています。

このため、申請した書類に形式的な不備がないとしても、必ず申請が許可されるとは限りません

また、法務局に書類が受理されても、後になって追加書類を提出するように指示を受けることもあります。

半年から1年の審査期間の間に、提出済みの書類が古くなったので新しいものを提出するように指示を受けることもあります。

仕事をしながらご自身で帰化申請を行うのは非常な困難を伴います。

 

途中で放棄してしまうより、帰化申請を専門に取り扱っているプロフェッショナルの行政書士にお任せください。

急がば回れ、という日本のことわざもございます。